夢の探求。療法士の原点を思い出せ!【臨床共育】(29)

夢の探求。療法士の原点を思い出せ!【臨床共育】(29)

IAIRの理念は「夢の探求・学問の探究」である。夢は誰でもみることはできる。誰に迷惑をかけるものではない。だが、夢を実行に移そうとすればそこに責任が生まれる。最も身近で今すぐできる事、自分との約束を守ること。その責任を果たし続けることで夢は志となる。それが夢の探求。そして学問の探究とは、あらゆる情報を知り、それを理解し、十分に咀嚼し、臨床で行う為に必要な事を提案できるまで探究していくことだ。今回は「夢」にスポットをあて、共に療法士になった原点を思い出してみよう。

 

療法士の原点を思い出せ!

筆者と直接話をしたことがある療法士諸氏はご存知かもしれない。「なんだってまた、療法士になろうと思ったの?」そう質問された経験があるのではないだろうか? そう。養成校に入るまでは仕事の一つ、何より憧れに似た何かを持っていただけだったものが、勉強量の多さ、自分の身体で覚え熟練なければならない技術、コミュニケーションの端々で試される人間性までが求められるとは思ってもいなかっただろう。でも、それでも療法士になった。国家資格を得た。それは素晴らしいことだ。資格を得たことが素晴らしいのではない。得るまでに努力し続けた、夢をただの夢にせず、そこに責任を持ち「志」にした。その事が素晴らしいのだ。
改めて質問させていただこう。「君は、なぜ、療法士になろうと思った?」原点を思い出してほしい。

 

なぜ原点を思い出す必要があるのか?

君は、なぜ、療法士になろうと思ったのだろう? ちなみに筆者はとても残念な回答である事を言っておかねばならない。筆者はもともと物書きになりたかった。物書きをしながら生きていければいい、そう思っていた。だから養成校1~3年までは勉強に本気になれず、毎回赤点スレスレの山形医療技術専門学校作業療法学科第1期生四馬鹿の一人だった。だがそれは表面的なもので、根はもっと深い部分にあった……が、それらときちんと向き合えたのは臨床経験をある程度積んで初めて気づいたことでもある。幼少期の筆者にとって病院は遊び場だった。病気で入院していた父の見舞い、泊まり込みで家族看護をしていた母。祖母に連れられて行った病室で遊び、身体が辛かっただろうにベッド上で遊ばせてくれた父。時は移り筆者自身が病気となり、定期的に検査を受け、毎日の投薬で心身が追いつかないなか、楽みといえば物語に触れる事。漫画、小説、ものを生み出す人の力への感動と憧れがあった事を思い出した。途中で自己顕示欲により「物書き」にこだわり、ねじ曲がっていったが、今の筆者自身を構築している大切な宝物だ。一つたりとて否定するものではない。そう思えるようになるまで、臨床経験10年以上はかかってしまった。だが、内省することで本当の意味で自分がなりたかったもの、療法士を目指し、苦難を乗り越え、療法士となることで、何を為したいと思ったのかを、改めて考えられるようになった。
資格を得て10余年、原点を忘れていた。毎日に追われていた。それでは患者の、クライエントの人生に関わることなどできてはいなかったのだ。
あえて言おう。原点を思い出さない限り、本当の療法士にはなれない、と。

 

あなたの原点……オリジンとは何か?

夢の探求。療法士の原点を思い出せ!【臨床共育】(29)
オリジンという言葉を知っているだろうか? 日本語でいうところの「起源」や「発端」、「源泉」や「生まれ」などと訳される言葉だ。アメコミなどが好きな方は主人公の行動原理にストーリーが及ぶとつけられるタイトルとして馴染みがあるかもしれない。歴史学者によれば歴史の浅いアメリカにとってアメコミは時代を映す鏡であり、新たな神話であるそうだ。確かに心理学者カール・グスタフ・ユングのアーキタイプ論にも関わる部分が非常に多い。

失礼、脱線した。軌道修正し改めて言うなら、人生の主人公たるあなたが、自身の行動原理に気づかず他者と関わり、周囲に影響を与え続けるのは、果たして善いのか? 我々は療法士である。あなたの影響を受けながら人生の物語の主人公であり続ける患者やクライエントにとって善いのか? 無意識にあなたの人生という枠のなかだけで提案するのか、意識してあなたの人生という枠のなかから提案するのかで、大きく意味が変わってくると思わないか?
だから、あなたの原点……オリジンについて筆者は質問してしまうのだ。

 

療法士の可能性を信じていますか?

ありがとう。ここまでお付き合いいただき感謝。はじめにIAIRの理念を持ち出したからには、アメコミの話をしていても全くIAIRと関係ない話ではないことにお気づきいただけていればありがたい。そして何より、IAIRは教育団体として次のステージに登る事を決意した、その宣言であると取っていただいても構わない。今の療法士業界を見渡し、あなたは何を感じているだろう。閉塞感か? それもと可能性か? 我々IAIRは療法士個人個人が持つ無限の可能性を信じている。かつてIAIRで学びを共にした諸氏が、今様々な発信をしている。「どの資格を取るのかではなくどのコミュニティに所属するのか」、「リハビリ業界ではなくリハビリ産業ではないのか?(あ、これは別な方だったかも)」などなど……共通する想いや考えを持つ人たちが増えてきた。何がいい、悪いではない。適材適所そして適者生存なのだ。そんな変遷を続けるリハビリテーションに関わる諸氏の環境。そのなかに在って適者生存するカギは療法士自身の人間的な成長にある。我々は人である限り、好き嫌いや喜怒哀楽で反応してしまう。それすらも飲み込み、自身を内省し、人としての成長を遂げられるよう、我々IAIRは進み続ける。発信し続け、追いかけたい背中を常に見せ続ける事を約束する。

少し早いが、2018年度も共に学べる喜びに感謝。

齋藤信
IAIR副会長/作業療法士 齋藤 信

 

追伸1:IAIR会員更新のお知らせは……

IAIR正会員の皆さん、明日の会員限定メルマガからIAIR会員の更新についてお知らせが届きます。

なんと……更新される方には非売品のIAIR学会動画教材の視聴権が……これまで講演いただいた先生方の講義を視聴いただければ、あなたのオリジンを思い出すことができるかもしれませんよ。ちなみに齋藤は山根寛先生の講義で作業療法士を選んで良かった!と心底思いました。

 

追伸2:原点を取り戻すプロセスのひとつが技術を学ぶ事

本文の中で資格ではなくコミュニティ……と言っているそばからB-classの紹介かい!と思った方……甘い!
療法士の業界で発言力を高めるには、一定の技術力に裏打ちされた自信です。そして何より、全身を一通り評価できる事で、患者さんやクライエントさんとの関係性を高めていく事も可能です。
技術研修を通じて、あなたの全人的成長を促すことができるプログラム。それがIAIR認定講座です。
まずは手数が欲しい、そんな入り口でも構いません。出口に到達し過去を振り返った時、過去受講するかどうかで悩んでいた自分にこう、声をかけたくなりますよ。
「まずは1つでいいから受講してみなよ」ってね。

認定講座の情報はこちら >>> https://iairjapan.jp/license

 

追伸3:新講義開発中!

齋藤の新講義……というかオリジンが語り出した新講義、「ストーリー・セラピー™ -EBMとNBMをつなぐ物語り-」を近日募集開始します。事前にEラーニングで理論と宿題を、当日はワークショップとフィードバックを中心に、後日はオンライン講義で参加者限定フォローアップという、これまでIAIRで行って来なかったスタイルでの開催を準備中。
紹介動画と感心のある方向けの無料入門編の申込を記載しておきますので、まずはお試しあれ。


無料動画教材申込はこちら >>> https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=IRnMmqidk

ABOUTこの記事をかいた人

Makoto Saito

作業療法塾塾長、臨床共育マネジメント主宰、IAIR副会長! 精神科作業療法士として13年臨床経験を重ねたのち、起業。臨床教育を共育にCHANGEするというビジョンのものと、療法士の育成に人生の全てを懸けている。 また、臨床共育メンター®養成として、臨床指導者や管理職向けの講義、コーチングも行っている。