いい療法士の条件とは?【臨床共育】(28)

療法士とは○○であるべきである。××ができないなら療法士じゃない。△△は療法士らしくない。
療法士25万人時代として、IAIRでも過去に日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の掲げる職業倫理規定をもとにその解釈と在り方を紹介した。だがSNSでは、先のような観念がネガティブな意味で流れている。今回は改めていい療法士の条件を考えてみたい。

 

いい療法士の条件を質問してみた

実は先日、練習生のフォローアップと交流の為のIAIR【関東分科会】Facebookグループでこんな質問をした。
みなさんに質問。「いい療法士の条件」って何だと思いますか?
そう、今回のコラムタイトルそのままだ。よい療法士ではない。いい療法士と言うところがミソだ。
よい」は「良い」や「善い」と漢字で変換される。その為この言葉自体で「裁く」力を持ってしまう。だが「いい」は「好い」であり、前者と比較して「望ましい」という色合いが強くなる。
裁く」力はややマイルドなのだ。

 

いい療法士の条件を質問してみた結果……

ちなみに質問をした結果、練習生から様々な回答が寄せられた。少し紹介すると……

  • 人としての接遇やコミュニケーションが取れる。(N先生)
  • 患者、利用者、クライアントの事を第一に考えられる。(H先生)
  • 選択肢を与えられる。(K先生)
  • 相手の目線に立てる、親しみはあるが距離を保てる。(Y先生)
  • 今日とは違う明日を一緒に作ってくれる。(S先生)
  • 自分自身にきちんと向き合える。(S先生)
  • 変化に挑戦できる。(K先生)
  • いい人間かどうか。(森本義朗先生)

などだ。都合上筆者が文面を揃えたが、意味は変わっていない。
最後に森本会長がIAIRの目指すところも含めを公式コメントしているが、ほぼ筆者が伝えたい事の全てを一言で表しているので、読み疲れたようならここで読了としていただいても構わないところだ。

 

それぞれの視点と立場でいい療法士の条件は変わるのか?

今回この質問をした背景には、実はとても恐ろしい真実が隠されている。それは療法士それぞれが療法士をどのようなものであると「認識」しているか、どんな「経験」から、どんな「思い込み」を作り出し、どんな「療法士とは○○である」という観念を持っているのかが見えて来るのだ。
失礼、回りくどかった。ただ一言。

「この質問の回答は、自分が療法士として最も大切にしたいとである」

しかも大して恐ろしい真実でもなかったかもしれない。

今回、質問に回答してくれた先生方……ファーストペンギンとも言える勇気をありがとう。
先生方の回答は、それぞれの立場や経験から生まれたものであり、とても素晴らしいものばかりだ。何より素晴らしい……いや素敵なのは、誰一人その観念から他の療法士を攻撃するような発言がなかった事だ。視点や立場は違えど一つ視点を上げると、先生方の根底に共通の認識があることが伺えて来る。

 

筆者は過去「いい療法士の条件」をどう考えていたのか?

先生方に回答させるだけさせて筆者が言わないではフェアではない。共通認識という一つの回答を話す前に、筆者が過去どんな発言をしてきたのかを紹介する。

  1. 自力で生き残れる力がある。(2005年:作業療法塾メルマガOTサバイバーより)
  2. 達成した瞬間「次」が見える。(2013年:作業療法塾長のネタ帳より)
  3. リハビリを、否定できる力/この世から無くせる思考。(2014年:IAIRマネジメントコラム)
  4. 共に育むことができる。(2016年:IAIR関東〜臨床共育マネジメント)

などだ。いずれも当時の筆者の心の鏡と言える。
1の時期は最初の職場を辞めどんな状況下でも生存できる個の力を欲していた。2の時期はIAIRを始めて2年が経ち、皆の前で講義をするようになりプロフェッショナルとしてより高みを目指していた。3の時期は社会の中のリハビリを考え始め、先の未来でも社会に求められる療法士を追っていた。4の時期は個人では成し得ない領域は個の集合と協力でこそ乗り越えられると思い始めた。
ネガティブな感情から始まり、コンプレックスを満たした先で果てしなき高みを見、個の高みだけでは成し得ない困難さを知り、自分の弱さに正直になれた
人は全て思い込みの中で生きているとはよく言ったものだ。その時にはわからなくとも、振り返るとその時々の想いと感情が言葉を紡いでいた。
もちろん、その時は自分にとっての正義だったし、考えを異とする療法士に反感を抱いたものだ。
だが、だからこそ、今一つのいい療法士の条件にたどり着いた。

 

いい療法士の条件とは

既に森本会長が言った通り「いい人間かどうか」だ。ただ、もう少し僕の経験からの気づきで補足し、皆に共通する認識として一つの言葉で紹介すると……

いい療法士の条件とは「感情を溜め込まず自分に素直で在れる事」だ。

先にも「裁かない」と言ったように、裁く背景にはそこに今は忘れている個人の強い感情がベースにあり、その処理しきれない何かが行動という形で顕在化しているとも言える。
強い感情は確かに力に変わる。だが強い感情は相手を観念に基づいた個人の正義で裁き、捌いて対応してしまう。悪い意味で常に主人公は自分なのだ。
療法士はそうではない。感情的に安定しているからこそ……気に病んでいないからこそ……相手が相手の人生の主人公となり、治療が、療法が成り立つ。
相手の人生にとっては、脇役。でも最高の脇役であることがリハビリだ。
その為にも良い意味で常に自分が自分の人生の主人公であることを忘れてはいけない。
だからこその、いい療法士の条件とは「感情を溜め込まず自分に素直で在れる事」であり、「いい人間」として生きることなのだ。

 

まとめると……

  • ただ一言「いい人間であろう

 

今回は療法士のあり方論になった。
是非、ここまで読んだあなたも「いい療法士」について考えて欲しい。
もちろん、一人で考えることはない。共に考えていく手伝いをする準備がIAIRにはある。
技術を通じて、思考力と人間性、社会性を醸成する。
それこそが、IAIRが技術をあなたに伝え続けている最大の理由なのだから。

主宰齋藤信
IAIR副会長 齋藤 信

 

追伸

いわゆる「オラオラ系」療法士が講師を務める勉強会に疲れたら、IAIRの門を叩いてください。
技術以上に療法士人生を真剣に考えることが出来るようになれるのはIAIRだけです。
教科書やネット、教材では伝わらない、生の体験を全国のインストラクター一丸となってお伝えしています。
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参考

No148 理学療法士ガイドラインを熟読したら「いいこと」書いてあった
>>> http://www.iairjapan.com/archives/3241

職場の方針が決まらないならコレを読め!【目考!リハ科経営塾】(93)
>>> http://iairkanto.jp/saito20161001/

ABOUTこの記事をかいた人

Makoto Saito

作業療法塾塾長、臨床共育マネジメント主宰、IAIR副会長! 精神科作業療法士として13年臨床経験を重ねたのち、起業。臨床教育を共育にCHANGEするというビジョンのものと、療法士の育成に人生の全てを懸けている。 また、臨床共育メンター®養成として、臨床指導者や管理職向けの講義、コーチングも行っている。